介護保険受給者の所得控除

確定申告の時期になりました。
今日の記事は、いつもとは方向・雰囲気が少し異なります。

私がある時から気が付いた過去の経験から、要らぬお世話ですが、この記事を読んだ方の中で1人でもメリットを受ける方がおられれば、と思って書いてみることにしました。

介護保険の給付を受けている親御さんや祖父母の方を、税法上の扶養親族にしている方はおられませんか?

同居老人のほか、特別養護老人ホーム、グループホームなどに入所・入居している方も、生計同一とされれば扶養親族の対象となりますが、その中には障害者控除の対象になる方が多々おられると思います。

そして、障害者控除の対象となれば、老人扶養控除と別枠障害者控除を受けることができます。
つまり、扶養義務者である納税者の税負担が減るという話です。

普通、身体障害者手帳、療育手帳などを持たれている方は障害者控除の対象になるのでご存知の方も多いでしょうが、介護老人については、余り知られていないようです。

昔、元宮城県知事の浅野史郎さん(余り好感が持てないところもありますが)が、『人は年を取るとみんな障害者になるんだ』と言っていたことがあります。
これは悪い意味ではなく、平均寿命が延びていることに対して、どのように行政が対処していくべきか、という話だったと思います。
浅野史郎さんは、別のところで『ウーマライゼーション』というユニークなことも言っておられましたね。

それで話を戻して、例えば「身体障害者手帳」を取得すれば、所得税のほかいろいろな公的機関の利用料金の割引などを受けることができますが、その取得には、指定医の診断が必要であり、本人を病院に連れて行かなければならないことになります。

身体障害者手帳の取得に年齢制限はありませんが、指定医については「この病院のこの医師」と専門医が指定されており、一般の町医者では診断してもらえません。
扶養義務者にとっては、連れて行くだけでもかなりの負担となるので、診断を受けて申請をする人は少ないと思います。

しかし、介護保険で「要介護」とされていれば、本人を連れて行かなくても、市区町村の介護保険の担当課に介護保険証を扶養義務者などが持って行って申請すれば、同等の「障害者」という証明書を発行されて、障害者控除を受けられる可能性があります(手数料無料の筈)。

介護保険の要介護度の調査を行った時のデータを基に判断するので、要介護度がいくつ以上だと対象になるということではありません。
例えば、
「移動には車椅子が必要である」
「食事には介助が必要である」
「認知症があり、常に見守りが必要である」等々の項目によって判断されるのだと思います。

この市区町村の証明書で、障害者あるいは特別障害者と認定されれば、27万円~75万円の所得控除が受けられます。
また、過去5年前くらいまで証明してもらえるので、過去の所得税の更正の申し立てもできます。
さらに、住民税で障害者控除も受けられます。

該当の可能性のある方は、担当課に電話照会してみることをお勧めします。

介護が必要になると、本人はもとより家族の負担が大きいです。
目に見えにくい経済的な負担も大きいので、せっかくの制度ですから、該当する場合には納税額の負担軽減のために活用してはいかがでしょうか。

 

今日は、余計なお世話のような記事でした。

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